幼児の検診と母親の質問

 今日は歯科医師会からの派遣業務で市の3歳児検診に行ってきました。天候にも恵まれた為か 歯科医師2名で60~70名程度の検診をしてきました。ここで幾つかお母様からの質問をいただきました。一つには歯に付着してる着色です。通常ステインといいますが、ほとんどが茶渋です。以前はあまり気になりませんでしたが、最近のお茶ブームは幼児までにも波及してるようで、甘い果汁や清涼飲料水よりも虫歯になりにくい為に 多くの家庭でお茶を飲ませてるようです。これはけして悪いことではありませんが、3歳児程度ですと歯磨き時に歯磨き粉を使わない方が多いようで、この茶渋が歯に付着し 全体に茶色の色素が付着するのです。このステインは取り立て問題は無いのです。子供が自分でうがいが出来るようになったら 歯磨き材を使用して歯ブラシをするようになればこのステインは自然に取れるようになります。また 歯の着色で、最も気になるのは 初期虫歯の色ではないでしょうか。通常C-0と言われる表現は歯の表面が紙やすりのようにざらざらになることで 色調としては白色に見えます。丁寧な歯ブラシによることで再石灰化により虫歯の進行は抑えられます。とかく乳歯の虫歯は進行が早いので見つけたら早期処置が必要です。また検診で質問多いことは、歯列不正です。原因は様々ですが、3歳児ごろに多く見られるのは 指しゃぶりやおしゃぶりの長期使用ではないかと思います。但しこの時期に 無理に止めさせることは無いかと思います。これは情緒の発育にかかわることも要因ですので、5歳ぐらい迄には止めさせたら良いかと思いますが 少しずつ言って聞かせれば 子供も自然に止めるものです。しかし5歳を超えるまでその習癖があると開口と言って上下の歯がかみ合わなくなり、これは自然には治癒しなくなります。また歯並びが、反対咬合の方もいます。将来を心配して矯正をしたほうが良いかとの質問もありますが、顎の発育によって自然に正常になるものも多くありますから この時期は経過観察が必要ではないでしょうか。しかし歯の叢生(歯並びが悪い 乱杭歯)は将来大人になっても、この要素はあります。今の子供たちは、細面の子が多い為、一般的に歯が並ぶスペースが不足してます。これも人間の進化の結果かもしれません。大人になって綺麗に歯が並ぶ人は益々少なくなるのではと思います。
しかしこれも、乳歯が叢生でも直ちに矯正の対象にはなりません この時期には永久歯が正しい場所に生えるように行なう咬合誘導ということを考えます。すなわち 乳歯は 永久歯の道先案内人ですので、永久歯の生え変わる時期まで出来る限り虫歯などでなくさないように保存します。また必要なら顎の拡大なども行なうことも検討することもあります。
 検診に行って 多くの子供たちを見て 全体的に口腔衛生が良いなと感じます。将来は虫歯の治療は激減するように思いますが、問題は学童期になって甘味料の摂取が多くなることでしょう、幼児期は 親の管理が行き届きますが、学童期になると、永久歯との交換が始まり、自我も目覚め 親の管理もつい甘くなります。この時期が最もカリエスリスクの高い年齢かと思いますので、80歳まで自分の歯で咬むにはこの時期の予防管理が大変重要化と思います。
 歯科検診に行って感じたことを、思うがままにに書きました。

2006年4月14日 3:59 PM  カテゴリー: 歯話紀行